早尾貴紀:原発震災関連

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zoom RSS 今日も二台をチャーターしました

<<   作成日時 : 2011/03/19 07:49   >>

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(3月19日朝、記す)

みなさま

 大阪から早尾の第6信です。

 バス輸送の三回目となる今朝も、これから二台のバスが出ます。中型バスと小型バスの組み合わせで、チャーター料金は二台を一回目のときと同じく、15万円と12万円プラス税です。
 脱出希望の人数が一台に収まりそうにないかな、と思った瞬間に、躊躇なく「もう一台手配できないか」とバス会社に連絡できたのは、ひとえにみなさんから予想以上に迅速かつ多額の支援をいただいたからでした。深く感謝します。(もうすでに十分に集まっていますので、これ以上の申し出は不要です。ありがとうございます。)
 実は一台で手配した二回目の脱出のとき、バス会社の営業も終わった夜になってから、希望者がバタバタと増え、中型の定員数28人を超過してしまい、追加の手配ができないため焦ったということがありました。幼児は大人の膝上、若者は床に座って、ということでなんとか対応可能な幅ではありましたが、5〜6時間程度はかかるため、子どもが多いバスとしては、無理に窮屈に詰め込むことは避けたいと思いました。

 今日は、12家族35人ほどがこのバスで仙台を離れ新潟に向かいます。
 0歳から2歳ぐらいの乳幼児も多く、みな放射能汚染の子どもへの影響やまた長時間ストレスの強い環境に子どもを置き続けることは、これ以上は限界だと感じつつ、実質的にはその子たちを連れて出る手段のない人たちでした。みなさまの支援が、彼らに直接に手を差し伸べることにつながりました。

 地震から一週間が過ぎました。
 文字どおり、「すべて」が破壊されたなかで、公的には沿岸地域の救援、原発30kmからの退避など、優先事項があるのだと思いますが、なおも交通・物流・物資・インフラにおいて、かくも進展が微々たるものであることに、驚きを感じます。昨日こちらに到着したある家庭は、いまなお断水が続き、地震前夜の風呂水を使い切ったことも限界ラインだと感じた、とのこと。
 昨日のバスをドタキャンした一組は、溜め水を飲み続けていたために、親子とも下痢がひどく、長時間のバス移動を昨日の時点では断念しました。でも、今日はなんとかして集合場所に辿り着きたい、ということで、再度乗車名簿に乗せました。「チャーターなんだから、途中何回トイレ休憩をお願いしても、極端な話、漏らしてもかまいませんので、乗ってください」、と伝えておきました。
 今日も無事にこの二台が仙台を離れられることを願うばかりです。 

 昨日は、バスで脱出してきた人たちのうち、三家族(グループ)の計11人が、それぞれ金沢・京都・大阪で、みなさんの善意のネットワークで用意された住居に入りました。みな快適で、また受け入れ先の方々も親切で、安心した、という報告を受けました。うち京都には、私自身が避難者を連れていっしょに話を聞きに行きました。
 コーデイネーターさんを待つ間、避難者らと、この一週間の生活の様子を語り合いましたが、彼女らも、出てきた日の私と同様、新潟や関西に広がる「別世界」に、むしろリアリティが感じられない、不思議な感覚に包まれている、と一様に語りました。真っ先に出てきた私よりも長く仙台の内部にいた方々ですから、そのギャップたるや、私の数倍だろうと思います。

 こんなにも近いはずなのに、こんなにも遠い。どうして関西にはモノが溢れているのに、被災地には届けられないのか。
 昨日ぐらいから、ようやくにして物流手段が徐々に確保されつつある、という知らせが届くようになりました。少しホッとすると同時に、どうしてこんなに時間がかかるのか、本当に必要なものが必要な人に渡るのだろうか、そういう焦燥感のほうがまさってしまいます。

 また、ヘリコプターや放水車による事故原発への放水活動の映像も流れました。「あれは懸命の活動をしているんだというパフォーマンスにすぎない」という指摘も耳にしましたが、本当に意味があるのかと、むしろあれを見た多くの人は、「がんばってくれ」と思うよりも、あんな方法しかないのか、あんな程度の規模でしかできないのか、と、愕然としたのではないかと思います。
 でも、パフォーマンス効果もあったのか、家族に移動に反対する人がいたということで、バス乗車を希望しながら夜になって取り消してきた一家がありました。「まだここでがんばれるだろうと夫に言われた」と。

 どちらに転ぶか、効果的な冷却ができるのか、炉心融解に向かうのか、それは専門家ではない私にはわかりません。しかし、「ただちには健康に影響はない」、「放水作業は効果を発揮している」という言葉をそのまま信じるのは危険だと感じます。
「まだここでがんばれるだろう」とそこにとどまって不安に苛まれつつ、また子どもを未知のリスクにさらしつつ、がまん比べをするのではなく、まずはさっさと移動して、外側から冷静に、「いつ戻れるのかな、もう戻っていいのかな」ということを判断してもらいたい、そう思います。
 しかし、みなさんのほうがお詳しいように、(マスコミ報道とは別次元で)世界から出される専門家らの懸念の指摘は、読むだけで具合が悪くなりそうな恐ろしい事態への展開です。そうはならないことを願いつつ、いつか戻れることを願いつつ、早急に一時退避をするのが現時点での最善の選択だと思います。

 もうすぐ今日のチャーターバスの集合・出発時間です。
 みなさまからの支援でバスが出せたことを、心から感謝いたします。
(ただ、これまでも言ってきたことですが、たまたま三日連続でバスを出すことになりましたが、また出せるのか、もう出せないのか、それはいつも未定です。脱出希望をもつ移動困難者がいて、かつ出せるバス会社があれば、、、)

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