早尾貴紀:原発震災関連

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<<   作成日時 : 2011/07/20 19:50   >>

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原発震災でご心配くださっているみなさま

 BCCで早尾です。


 大学の講義がだいたい終わりつつあり、もうすぐ夏休みになります。
 一ヶ月遅れで5月に始まった前期の大学の講義。シラバスに書いたことはすっ飛ばして、原発震災にどのように向き合うのか、ひたすらにそればかりを話し続けました。最初は、何回かと思っていたのですが、結局前期の終わりまで、さまざまな角度から、避難の決断、避難生活、内部被曝、原爆症、核の「平和」利用、日本の原発導入、六ヶ所村再処理工場、東北地方の位置、差別の構造、世界の原発事情、東南アジアや中東への原子炉輸出競争、最終処分地問題、、、話すべきことはいくらでもありました。
 そして最後の日。学生らへーー

 ドキュメンタリー「永遠のチェルノブイリ」の一部。25年経っても何も問題が解決していない現状、石棺作業に終わりはなく、核燃料の状態を確認することもできず、健康被害も続出、、、
 福島の25年後がそこに映し出されている。もっとひどいことになるかもしれない。福島の収束には半世紀はかかる。だから、私が生きているあいだはもちろん、20歳のあなたたちが生きているあいだに「解決」を見ることは難しい。あなたたちはポスト〈3.11〉世代ということになる。〈3.11〉で世界はどう変わったのか。
 スベトラーナ・アレクシエービッチさんという人の『チェルノブイリの祈りーー未来の物語』(岩波現代文庫に入ったばかり)という本がある。いわゆるチェルノブイリ本のなかでいちばん私の好きな本。彼女は、戦争で傷つき絶望した小さな人間の声を拾い続けてきたルポルタージュ作家だ。彼女はこういうことを書いている。
「チェルノブイリ後、私たちが住んでいるのは、前の世界とは別の世界です。何かを理解するためには、人は自分自身の枠から出なくてはなりません。苦悩の歴史、人間の命の意味、私たちが地上に存在することの意味について、人々を訪れては語り合い、記録しました。そして何度もこんな気がしました。私は未来のことを書き記している、、、」と。
 私たちはこの「チェルノブイリ」を「福島」に置き換えてみなくてはならない。フクシマ後、世界は別物に変わってしまった、と。
 そして、どのように変わったのか、故郷を失って生活の基盤を失って、根底から価値観が変わってしまった人たちが、もう何万人にも達している。動くに動けない人たちがその数十倍もいる。その絶望の淵にある「小さな声」にどれだけ耳を傾けられるのか。ポスト・フクシマ世代の課題でもある。

 そんなふうな前期の講義を締めくくりました。



 大学と言えば、先日の地下大学、「汚染される私の選択」、盛況のうちに終わりました。
 ustreamでアーカイヴが見れます。3時間もあるので、お時間のあるときにどうぞ。

 http://www.ustream.tv/recorded/16006418

 映像の46分頃に、4月7日の仙台で最大余震(震度6強)のときの映像が、さらに1時間59分頃、地下大学当日の会場でも地震があり、そのときの映像が入っています。進行の浜邦彦さんから「雨男ならぬ揺れ男」とか呼ばれてしまっていますが、ともあれ、まだ揺れつづける大地と私の生々しさが伝わると思います。
 また、2時間37分のところで私が言及している本ですが、そのときタイトルを思い出せなかったので、ここで補足しておきます。野崎泰伸『生を肯定する倫理へーー障害学の視点から』(白澤社)です。大事な本です。



 来週は、来週名古屋大学で話します。
 7月29日(金) 14:00〜16:00
「世界ヒバク状況を生き抜くーー原爆=原発が規定した戦後世界の果てで」
 名古屋大学東山キャンパス文系総合館7階カンファレンスホール
 主催:比較マイノリティ学研究会


付記

 こうしてこの4ヶ月、いろいろな局面で自分自身、思考を重ね、問題提起を続けてきました。
 しかしそうこうしているうちに、どんどん疲れてきてしまっていることを自覚します。何か状況が好転するわけでもなく、吐き出し続けて空っぽになっていくような感覚。
 いま、地震被災地、津波被災地、原発被災地、そしてその外部に出た避難地、それぞれの中で疲労が出て来て、良くも悪くも「次の段階」に入ってきている、あるいは移らざるをえないのだと感じています。より「震災鬱」を深めていくのか、あるいは、いつまで「被災者」のままでとどまっているわけにはいかないのだから、新しい生活をつくりだすのか、できるのか。
 被災地の中で、避難した先で、それぞれ生のあり方の模索が続きます。

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