早尾貴紀:原発震災関連

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zoom RSS 子どもの疎開生活/矢ケ崎氏内部被曝講演/汚染牛と宮城

<<   作成日時 : 2011/07/21 07:08   >>

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原発震災でご心配くださっているみなさま

 連日のメールになってしまいます。早尾です。
 たぶん今後しばらく書く余裕がなくなると思いますので。

 これからたくさんの移動が入り(子どもに会いに行くことも含め)、学期末の仕事が入り、締切を過ぎたまま遅々として進まない書き物もなんとかし、という日々が続きます。
 というか、そろそろ私も「日常」を取り戻さないと、あるいは「新しい日常」を獲得しないと、このまま「震災鬱」に呑み込まれかねない、という危惧をもっています。


1、
 今日から、福島市のある母子家庭の子どもが、たつひとと同じ京都の小学校に疎開・転入します。福島で一学期を終えてすぐに移動してきました。
 同じ2年生で、1学年に1クラスしかないので、同級生になります。
 子どもだけでも疎開をさせるという、ギリギリの決断。いろいろな葛藤が、お母さんのなかにも、周辺にもあったと聞きました。でも、福島を離れることができて本当によかったと思います。故郷を離れることはもちろん素直に喜ぶことはできないのですが、やはり一定期間、外の安全圏に子どもを出すということで、今後の福島のこと、子どもとの生活のことを冷静な目で見て考えることができるようになると思うのです。
 子どもはきっとたくさんの貴重な経験を積んで、たくましく育っていくと思います。里親さんの家庭で、学校で、クラブ活動で、夏キャンプで、伸び伸びと遊ぶことができ、活動範囲が広がるでしょう。親元を長く離れることで寂しい思いもするでしょうけど、たくましくもなるでしょう。
 たくさん避難相談を受けてきたなかで、いちばん心配していた家庭です。うまくいくことを願っています。

 とはいえ、残された親はやはり寂しいはず。私も、たつひとのいなくなった仙台の家で、たまに戻ると感じるのはその「不在」。乗り手を失った自転車。読み手を失った絵本。
 4月にたつひとといっしょに植える予定だったカボチャの種が袋ごと転がったまま。たまーに仙台に帰って目に入るたびに、いっそ捨ててしまおうかと頭をよぎるけれども、手を伸ばす気力もおきない。
 庭らしいものがあるわけではない。ただ家の片隅の地面に、いろいろ植えているのはハーブ類。料理に使うという実用目的でいろいろな種類に手を出した。実際、たつひとといっしょに、晩ご飯の料理前に、ローズマリーやバジルやタイムを摘んでは、手の匂いを嗅ぎあった。これがもうできない。
 一年草のバジルはもちろん今年は植えていない。この間、わんさかと茂ってしまったイタリアン・パセリとカモミールをバッサリと刈り取ってしまった。「セシウム付きの放射能汚染物質なのだろうか」と思いつつゴミ袋へ。
 代わりの気休めに、セシウムを吸収するというヒマワリを植えてみた。けれど、気休めにさえなっていないので、植えるんじゃなかったと後悔。

 そんな心境です。


2、
 7月16日に、矢ケ崎克馬先生を仙台にお招きしました。「放射能被曝から子どもを守る会」に依頼を受けて仲介しました。ちょうど二ヶ月前に郡山で集会をもって以来の矢ケ崎先生との再会になりました。
 いつもの温厚な表情と口調ながら、以前よりも具体的な数値を挙げつつ、矢ケ崎先生は前に増して厳しい認識を示していたと思います。主に宮城県内から集まっていると思われる聴衆を前にして、矢ケ崎先生は、基本的にはここで暮らしてきた人たち、これからも暮らさざるをえない人たちに向けた注意喚起として話をされることが多かったと思いますが、しかし、実際に示された内部被曝の危険を考えると、宮城県だって被曝リスクにがんじがらめになっているのは確かであり、住まないにこしたことはないわけです。矢ケ崎先生としては、無責任に、「逃げるべき」とは言いづらいでしょうけれども。
 ですので、聴衆の多くが、いかに被曝リスクとつき合うか、リスクを引き受けるか、というところで生活をしのいでいくしかないと考えている。実際に、仕事や家庭の事情からそうなのかもしれませんし、または避難を具体的に想像することができないので、そう思い込んでいるだけかもしれませんが、しかし、内部被曝・低線量被曝の危険を考えると、やはり避難が理想。

 私は基本的には仙台にはいないので、聞きにはいけませんでしたが、昨日は肥田舜太郎氏(自ら広島の被爆体験者で医師)も仙台で低線量被曝をテーマに講演をされたようです。相次いで重要な講師の来県ですが、しかし、宮城県は福島県に次ぐ汚染状況だというのに、全般的に危機感が薄すぎるし行動が遅すぎます。余裕がない、目先の復旧・復興のほうが大事になってしまうのもわかるのですけども。


3、
 矢ケ崎氏が、とにかく内部被曝がこれだけ危険だということを示すなかで、しかしいまの日本の検査体制だと汚染食品がぜったいに出回ってしまうと繰り返し強調して指摘してからわずか数日で、いま汚染牛問題が勃発しています。
 しかもその「汚染源」は宮城県。安全だと思い込んで検査もしなかった宮城県の稲わらを、福島・山形・新潟などの農家が飼料として購入し牛に与えていたとのこと。その結果がこれです。
 宮城県知事は、「調べると風評被害が立つから調べない」と公言するような人物です。これ、風評じゃないでしょう。いろいろ批判を受けてようやく少しずつサンプル調査(隔週ぐらいのペースで、毎度違う場所の違う種類の野菜をいくつか調べるだけ)を始めた宮城県のやり方。例えば、6月7日に、石巻のお茶から400ベクレル/kg検出。これ、常識的に考えたら異常に高い数値ですから、そのことを警戒しつつ、毎日か少なくとも毎週、継続的に変化を調べなくてはならないはず。ところが宮城県は、「500ベクレル以下だったので安全」として、その後一切調べていないのです!
 この汚染牛の一件で宮城県の責任は重大だと思います。もちろん東電と政府の根本的な問題はあります。でも、復興の妨げになるとして汚染を直視せず、まともに調べもしてこなかった宮城県の姿勢は、もはや犯罪的だと言わざるをえません。


   *   *   *


 昨晩も京都疎開中の子どもと電話で話ができました。
 このだいだの三連休、里親さんとはまた別のご家庭にお世話になって、海にキャンプに連れていってもらったとのことで、そのときの様子を細かく教えてくれました。リールで海釣りをして、大きな魚を焼いて食べたこと。フグも1匹釣れたけど危ないからそれは食べなかったこと、海で泳いだこと、テントを張って泊まったこと、などなど(悪さもして怒られたらしいけれど、そんなことはチラリとも言いません)。
 原発から、そして上に書いたような宮城県の環境から遠く離れられて、そして多くの大人たちと子どもたちに囲まれ見守られて、たつひとは存分に遊び、学んでいます。そのことについては、学校と里親さんをはじめ、多くの関わってくださっているすべての人に感謝しています。
 ただ、彼の成長の現場に自分が立ち会えていないことについてだけは、どうにもやるせない気持ちが抑えられません。


   *   *   *


 みなさまからのカンパについては、最初の予定どおり、ゴーゴーわくわくキャンプ(@京都精華大学)に50万円、またすでにご報告しましたように、いわき市の児童福祉施設の子どもたちの美山町キャンプに30万円を、それぞれすでに送金しました。あと少し残っている分については、福島で乳児を抱えるお母さんのケア・サポートの活動を始めるある小さなグループに提供する予定です。こちらの活動が明確になったら、会計報告とともにお知らせします。
 重ねてみなさまからのご厚意に感謝いたします。
 上記3グループ、ともに、アテにしていた公的な助成金や民間の援助がはずれてしまったために、活動計画が行き詰まっていたところです。みなさまからの支援があってこそ、計画が実現されようとしています。ありがとうございます。

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