早尾貴紀:原発震災関連

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<<   作成日時 : 2012/04/28 23:16   >>

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たくきよしみつ『3・11後を生きるきみたちへ−−福島からのメッセージ』(岩波ジュニア新書)を読む

(ツイッターで感想を断片的に流したものを、ここでまとめます。)

1:福島県川内村の著者たくきよしみつ『3・11後を生きるきみたちへ−−福島からのメッセージ』(岩波ジュニア新書)を読む。20km圏内や30km圏内で、どれだけ政府や東電の無策によって住民が不要な被曝を強いられたのか、また、ばらまかれた義援金や補償金でかえって生活が破壊されたのか。

2:たくきよしみつ『3・11後を生きるきみたちへ−−福島からのメッセージ』は、平易な言葉で原発依存社会の理不尽を描いており、「国策や企業の甘言を信じるな、自分の頭で批判的に考えろ」と訴える。除染ビジネスの批判や、エネルギー政策のインチキなど、そのとおりだと思う。

3:しかし、たくき著『3・11後を生きるきみたちへ』には、「自分の頭で考えろ」と言う割に、納得し難い楽観的断定が、いくつか気になる。例えば、「現在の放射線量であれば、避難のストレスのほうが健康被害が大きいから、避難しないほうがいい」というのは、典型的な安全バイアス。

4:「危ないから避難をと言っている人の根拠は空間線量のみの外部被曝」という断言も嘘。自主避難者たちにとって内部被曝の危険はもはや常識だ。私は昨年5月に郡山市で矢ケ崎克馬氏を招き内部被曝講演会を実施。300人超が参加し、それがきっかけで避難した人も多数いた。もうそれから一年だ。

5:「チェルノブイリで汚染された森林地帯の野生生物は体内被曝をしても、奇形になったり短命になったりしていない」というのも嘘。人間が去って「野生の楽園」になったかに見えたのは、生殖異常をきたしても、どんどん周囲から新たに個体が入って来ているだけのこと。実は繁殖はしていない。

6:たくき著『3・11後を生きるきみたちへ』は、これほどの大規模な汚染・被曝の影響は人類初なので科学者にも分からないことが多い、と自分でも言っているのだから、「この放射線量なら避難は不要」、「チェルノブイリの野生生物に被害がない」などと臆見・嘘を並べるべきではなかった。

7:また、原発避難=経済負担&ストレス、とマイナス面だけで語るのも不当。経済的にキツくなるのを承知で、被曝リスクと将来の健康不安から解放されるため、避難生活をあえて望んだ人、子どもが存分に外遊びをする姿を見て避難して心底良かったと感じた人は、実はものすごく多い。

8:たくき著『3・11後を生きるきみたちへ』は、人類史的な観点から原発を根底的に批判した本であるはずなのに、いくつか不用意な断定が気になった。ジュニア新書として広く読まれるには危うい。川内村が福島市などと比べて相対的に線量が低いことで、残ることを正当化したいバイアスがある。

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